ちょっとシニアチック Watercolor by Osamu 水彩画家のロス日記 Watercolorist Diary

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2007年 04月 29日

S氏

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Reggie


暇なのでブースを離れ小東京を歩いた。
都ホテルの前へ来た時「サム」と男に声を掛けられる。
振り向くと小柄な男がこちらを見ている。
一瞬誰だか解らなかったが、
近付いてみると暫く会っていなかったS氏だ。
S氏と書いたが、彼の名前は解らないので、
仮名と言う事でSを使った。

何時も日曜日にブースへ遊びに来ていた。
最近は日曜日を休む事が多いので長い間会っていない。
そのせいなのか印象が違う。
話し始めてその原因が直ぐ分かった。
以前より9キロ痩せたと言う。
元々小柄な男だ、9キロは可成りの減量である。

「実は○○に成ってね」
と弱々しい声で言うので聞き取れなかった。
「えっ、なんですか?」
ぼくは彼に顔を近づける。
「此処が癌に成ってね」
そう言い乍ら両手で喉の回りを囲う様な仕草をする。
喉頭癌、そんな言葉が頭に浮かんだ。
その事に付いて質問するのは悪い様な気がして、
「其れは大変ですね」
と当たり障りのない言葉が口から出た。

アメリカでは保険が無いので治療は日本でしたそうだ。
抗癌剤投与を終えたばかりなのだと言う。
かぶっていた帽子を取り、
「ようやく毛が生え始めたところなんですよ」
と何時もの様に口元をゆがめた様な笑いをする。
そこには産毛の様な頭髪が有った。
「以前と変わらないですね」
とぼく。
「以前は俺の頭髪ふさふさだったよ」
そう言われて、以前の彼のイメージを思い出してみる。

40分程話し、彼は帰って行った。
5月9日に又日本へ行くのだそうだ。
彼の後ろ姿を見送り乍ら複雑な気持ちに襲われる。
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by shinia62 | 2007-04-29 03:13 | シニアの時間 | Comments(0)


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