2011年 09月 26日

悲しきムスターファー

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 テーブルを挟んで座っていたジョンが身を乗り出すと私の耳元で言った。
「今のウエートレス気が利かないな。彼女の前に居た娘が良かったのにな」
私はウエートレスにあまり注意を払っていなかったから彼の言葉にちょっと驚く。
お陰でその後の私はウエートレスが気になって参った。
そうすると今まで気にならなかった事が見えてくる。

 そんなに忙しくもないのに私達のテーブルに殆ど来ない彼女。
二人のコーヒーカップはとっくに空になっている。
コーヒーショップのウエートレスは忙しくテーブルを回って
コーヒを次いで回るものだ。
私達はそれに慣れている。
無意識に空のカップを口に運ぶ。
そして気まずくそれをテーブルに戻す。
朝食は食べちゃったし、その上コーヒーカップが空だと
一体どんな行動をとれば良いのか落ち着かない。
腕を組んでみるがどうも不自然。
来る度に見ている何時も同じ壁のパステル画を見たりするが、
意識は全くそこへ行ってない。
これ以上この空気が続いたら私の居場所がなくなる。
選択は一つ、ここを出るしかない。

 そう思ったら無性に悔しくなった。
そんな事をしたらこちらの負けだ。
私達は客だ。「おい、ウエートレス、コーヒーがないぞ」と叫ぶべきだ。
しかし、ジョンも私も大人しい。
ジョンあんたアメリカ人だろう。叫べ!と責任を彼に振る。

 ああもう駄目だ居たたまれなくなって立ち上がろうとしたら
ウエートレスがやって来た。
「コーヒー?」と一言。
ジョンと私は黙ってコーヒーカップを彼女の前に押し出す。
熱いコーヒーがカップを満たすのを見て私達は鼻の奥がツーントする。
Pathetic!!!!

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by shinia62 | 2011-09-26 10:12 | シニアの時間 | Comments(0)


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