2011年 09月 19日
誓って言います。作り話ではありません。本当にあったお話です。 ジョンと私はコーヒッショップのテーブルを挟んで座っていた。開店直後に店へ入った私達はとっくに食事を終えていた。毎週日曜日に判で押したように集まる小東京の店だ。常連客の多いこの店はまあまあの混みようだ。今週は何故かジョンと私の二人だけだった。二杯目のコーヒーに砂糖を入れかき混ぜるジョン。昨夜視たテレビ番組の話しを続ける。私は相づちを打つものの思いはどこか別の空間を彷徨っている。何とも変な気持ちだった。何かがおかしい。「それでさあ、あの主人公ちょっとおかしいよね。現実にあんな行動を取る男が居るとも思えないよなあ」。ジョンの声が遠くから聞こえる。 「あれ、どうしたのかな」 突然のジョンの声に私は我に帰った。「誰も居なくなったよ」。何の事か解らずジョンを見る。彼の座る位置から入り口付近のテーブルが見える。私にはジョンの後に有る十個程のテーブルと裏口のドアだ。そこに何組かの客が居たはずだが、言われて見回すと確かに誰もいない。「キッチンにもカウンターにも誰もいないよ」。ジョンが少々おどけた声で言った。冗談の積もりだろう。笑いながらそちらへ目をやる。本当だ、誰もいない。オープン・キッチンの中に居たラテン系のコックの姿もない。カウンター内のウエートレスも消えていた。私はもう笑ってはいなかった。店の中に人影は全くなかった。入り口のドア越しに見える通りにさえ人の姿はない。ジョンと私は無言でお互いを見つめ会う。二人だけがこの空間に残されたのか。それとも、私達が異次元に迷い込んだのか。二人とも次の動きが取れなかった。そのままの姿勢で次ぎに何が起こるのかを待つしかないそんな心境だった。 その時だ、入り口に向かって座っているジョンが目を大きく見開いて入り口を指差す。 「ああ、、、、、、、、、、、,あれは」 (空間の亀裂 2へ続く) ↓このボタンを押して人気ブログ投票してね。
by shinia62
| 2011-09-19 12:03
| シニアの時間
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