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シニアチックな水彩画家,80歳 おさむ斉藤のブログ Watercolor by Osamu 水彩画家のロス日記 Watercolorist Diary

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2011年 01月 03日

看板職人時代 5

看板職人時代 5_c0053177_1020642.jpg


 話が前後しますが、書店で働いていた頃、私はある雑誌に載って
いた絵の通信教育の広告に興味を持ちました。これなら働いていて
も出来そうだと思ったのです。絵描きに成りたい夢が消えた訳では
ないのです。その気持ちを心の奥に押し込んでいただけでした。
そこにはタレントテストと言う余白が有りました。ファッションモデル
らしい女性の写真が載っていてそれを描いて送る訳です。考えてみ
れば商売の宣伝ですから誰が送っても「貴方は絵の才能が有りま
す」と言ったたぐいの返事が来るのでしょう。しかし私は夢心地で
女性を鉛筆で描いて送ったのです。勿論返事は才能ありで、私は
直ぐ通信教育の費用を送りました。
 通信教育を初めて半年が経っていました。将来は挿絵画家に成る
のだと夢が膨らんで行きました。店の大将に呼ばれたのはそんな
時です。「お前この頃絵に夢中に成っているそうだね。休みにはス
ケッチに出かけているようだし」私は何を言われているのか理解が
出来ませんでした。絵を描く事で小言が来るとは思っていなかった
訳ですから。大将の口から絵を止めろと言われた訳ではないので
す。しかし否定的な小言には違い有りませんでした。
その事が有って直ぐ母から手紙が来ました。「お前が絵ばかり描
いているのは書店の仕事に打ち込めないと大将が心配して手紙
をくれたよ。大丈夫かい?」。これを青天の霹靂と言うのでしょうか。
絵を描く楽しみが仕事に力を与えてくれると思ったいたのでショ
ックでした。内緒で続けようにも通信教育の封書は店に届くので
出来そうも有りません。親に心配かけるのはさすがに出来ない。
波風を立てないのが一番。私の通信教育は意外な形で終わりを
告げたのです。
そんな訳で看板職人見習いの口が見つかった時は、天にも昇る
気持ちでした。看板職人なら絵を描く事に文句を言われる事は
ないでしょう。むしろ勉強熱心な見習いと言われるかもしれませ
ん。
仕事が決まった日の翌日、私はこれから働く事に成るFデザイン
スタジオへ行ってみました。看板店にしてはモダンな会社名が私
をさらに興奮させました。店の外では床に置かれた強大な看板を
マジックのような手さばきで描く職人の姿が有った。私も何時か
彼の様な職人に成るのだと思うと鼓動が激しく成るのをどうする
事も出来ませんでした。

看板職人時代 5_c0053177_10235581.jpg


(初期の頃の入り口看板。1992年の店舗移転まで使っていた。)


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by shinia62 | 2011-01-03 10:31 | 過去日記(◯◯◯◯年 ) | Trackback | Comments(4)
Commented by 和美 at 2011-01-05 08:09 x
本屋さんの店主は日本人だったんでしたっけ?個人の時間にしている事にちょっかいを出すのは日本的ですね。お母さんに電話をかけるのも日本的。サムさんも、やめろと言われる前に通信教育をやめるのも日本的です。今だったら、やめないですよね。
Commented by shinia62 at 2011-01-05 13:59
和美さん
ただいま物語は北海道小樽市の話ですので。勿論日本です。その頃私は本当に日本人らしかったのです。
Commented by 和美 at 2011-01-07 04:56 x
最近の若いもんは、どう考えるんでしょうね。昔の15歳は本当に生真面目だったと思いますけれど。
Commented by shinia62 at 2011-01-07 08:02
和美さん
今の15歳よりは大人だったかも。私は違うけど。アーティストは子供っぽいのが多い。と思う。(笑)


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