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シニアチックな水彩画家,80歳 おさむ斉藤のブログ Watercolor by Osamu 水彩画家のロス日記 Watercolorist Diary

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2010年 12月 30日

看板職人時代 4

看板職人時代 4_c0053177_9544095.jpg
 
長い看板職人の経験で一生忘れられない感動の出来事が有る。そ
れは初めて看板を描かせてもらった時だ。それも全部ではなく日付
だけである。そのような些細な事にあれほど感動出来るのもそれま
での苦労があったからなのだ。

 私は蘭越中学を卒業すると直ぐ親元を離れ社会に出た。15歳の時
である。絵の上手な生徒だったが美術学校行きは夢のまた夢である。
それなら絵も描くかもしれない看板屋はどうだとない知恵を絞った結
果、看板職人見習いの道を選ぶのだった。しかしその年の求人に看
板店はなかった。それならその職が見つかるまでと小樽の書店で働
く事になった。住み込み店員である。通りに信号機も無い村で育った
私の目に、小樽駅前のネオンの明るさは目も眩むほどであった。書店
は駅前広場の直ぐ角に有り少年の私には心躍る大都会の生活が目
の前にあった。

 しかし現実は何から何まで初めての事で辛い毎日が始まる。そこで
の生活はかなり封建的匂いのするものだった。なんと言っても驚いた
のは朝晩の挨拶を三つ指着いてする事だった。家の主人は[大将」と
呼ばれていた。例えば朝の挨拶は「大将お早うございます」と言い乍
ら三つ指を着くと言う訳だ。田舎の百姓から突然侍に成ったようなカ
ルチャーショックであった。ただ本がいくらでも読めるのは嬉しかった。
ここでの仕事は看板見習いの口が見つかるまでの仮の宿。自分にそ
う言い聞かせながら頑張った。そして一年半後、遂にその時が来た。

(来年に続く)

(看板店時代に使ってい
たロゴ。手書きの原稿を縮小、ゴム版にした。このスタンプを使えば文
房具屋で買った請求書や見積書用紙が店のロゴ入りと成る。)


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by shinia62 | 2010-12-30 10:10 | 過去日記(◯◯◯◯年 ) | Trackback | Comments(8)
Commented by Marrrsan at 2010-12-30 14:59 x
日本での看板職人の時代に大いに興味あったので、
来年が楽しみです。
Commented by はにはにの母 at 2010-12-30 21:36 x
なんだか豪華アメリカ暮らしとおもっていたのに、こんな大変な時期を過ごされたなんて。絵がほんとにすきだったんですね。なんたらかんたら岩をも通すと言う、サンプルみたいな人生でしょうか。なんだか、泣けてきますが、エネルギーまたまたもらってかんじ。
Commented by shinia62 at 2010-12-31 00:28
ま〜さん
来年は全力を注ぎ看板職人時代を書かせて頂きます。あっ、絵も描かなきゃ成らないですね、商売だから。
Commented by shinia62 at 2010-12-31 00:30
はにはにさん
コメントで思い出した事があります。本屋時代に通信教育で絵を始めた事です。その事も描かなくちゃ。来年書きましょう。
Commented by 和美 at 2010-12-31 16:57 x
15歳で社会人になったんですねー。わが娘も15歳ですが、考えられません。昔は早く大人になったような気がしますが、兄弟の方々も若くして独立されたんでしょうか。
Commented by shinia62 at 2011-01-01 00:16
和美さん
兄弟達も15歳で独立でした。昔はそんなのが多かったと思います。田舎の事ですが。
Commented by Tsutom at 2011-01-03 14:47 x
私も本屋の時代のおさむ氏に行ったコトが、おぼろげな記憶にあります。
強烈な印象を受けたのは、その後のサムさんでしたが。
Commented by shinia62 at 2011-01-03 23:55
Tsutomさん
書いていると昔の記憶がよみがえります。考えてみると今が思い出話を書くラストチャンスかも。どんどん書いちゃいます。


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